ナイロン66(6,6-ナイロン)
ポリアミド系 / 縮合重合 / 世界初の合成繊維(1935年 カロザース)
合成(縮合重合)
①
ヘキサメチレンジアミン(H₂N-(CH₂)₆-NH₂)
↕ 縮合重合(脱水)
②
アジピン酸(HOOC-(CH₂)₄-COOH)
n H₂N-(CH₂)₆-NH₂ + n HOOC-(CH₂)₄-COOH
→ [–(CH₂)₆–NH–CO–(CH₂)₄–CO–]ₙ + 2nH₂O
結合:アミド結合 –CO–NH–
名前の由来:ジアミン(炭素数6)+ジカルボン酸(炭素数6)→ 66
性質と用途
天然繊維との比較絹に似た肌触り・光沢
機械的性質高強度・高弾力・耐摩耗性
化学的性質耐薬品性(酸・アルカリに比較的強い)
用途衣類・ストッキング・ロープ・歯ブラシ
★ 試験頻出ポイント
「6」の意味はジアミンとジカルボン酸の炭素数。界面重合(アジピン酸ジクロリド使用)は実験室的手法として記述問題頻出。アミド結合の確認→ビウレット反応はタンパク質と同じ反応を示す。
ナイロン6(6-ナイロン)
ポリアミド系 / 開環重合 / ナイロン66との違いに注意
合成(開環重合)
①
ε-カプロラクタム(環状アミド・ラクタム)に少量のH₂Oを加えて加熱
↓ 開環重合(脱離小分子なし)
②
ナイロン6が生成
ε-カプロラクタム (C₆H₁₁NO)
→ 開環重合
→ [–NH–(CH₂)₅–CO–]ₙ (ナイロン6)
繰り返し単位の分子量:113
結合:アミド結合 –CO–NH–(ナイロン66と同じ)
ナイロン66との比較
原料1種類(ε-カプロラクタム)
重合形式開環重合(縮合重合ではない)
繰り返し単位炭素数6のアミノ酸型
性質ナイロン66とほぼ同等
★ 試験頻出ポイント
ナイロン6とナイロン66はどちらもアミド結合。違いは合成法(開環重合 vs 縮合重合)と原料の数(1種 vs 2種)。ラクタム=環状アミドと覚える。
ポリエチレンテレフタラート(PET)
ポリエステル系 / 縮合重合 / ペットボトルと同一素材
合成(縮合重合)
①
テレフタル酸(HOOC–C₆H₄–COOH)=ベンゼン環含む二価カルボン酸
↕ 縮合重合(脱水)
②
エチレングリコール(HO–CH₂–CH₂–OH)=二価アルコール
n HOOC–C₆H₄–COOH + n HO–CH₂CH₂–OH
→ [–CO–C₆H₄–CO–O–CH₂CH₂–O–]ₙ + 2nH₂O
結合:エステル結合 –COO–
繰り返し単位の分子量:192
性質と用途
吸湿性低い(速乾性 → スポーツウェア)
シワシワになりにくい
強度ベンゼン環で高強度
用途衣類・ペットボトル・フィルム
★ 試験頻出ポイント
親水基(-OH,-COOH)がエステル結合に使われ吸湿性低い=速乾性という流れを答えさせる問題が頻出。PETとポリエステル繊維が同一素材であることも確認。分子量計算でベンゼン環の式量(76)を忘れずに。
アクリル繊維(ポリアクリロニトリル・PAN)
ポリビニル系 / 付加重合 / 三大合成繊維の一つ
合成(付加重合)
①
アクリロニトリル(CH₂=CH–CN)の付加重合
↓ 付加重合
②
ポリアクリロニトリル(PAN)完成
nCH₂=CH–CN
→ [–CH₂–CH(CN)–]ₙ
ニトリル基(–CN)を側鎖に持つ
アクリロニトリル成分85%以上:アクリル繊維
アクリロニトリル35〜85%:モダクリル繊維
性質と用途
天然繊維との比較羊毛(ウール)に似た肌触り
軽さ・柔らかさ軽くて柔らかい・保温性あり
疎水性染色しづらい→酢酸ビニル等の共重合で改善
用途セーター・毛布・カーペット
★ 試験頻出ポイント
炭素繊維(カーボンファイバー)はPANを不活性気体中で熱分解して得る。アクリロニトリル+塩化ビニルの共重合で難燃性繊維(カーテン用)になる点も出題される。
ビニロン
ポリビニル系 / 付加重合 → けん化 → アセタール化 / 日本初の合成繊維(1939年 桜田一郎)
4ステップ合成経路
①
酢酸ビニル(CH₂=CH–OCOCH₃)を付加重合
↓ 付加重合
②
ポリ酢酸ビニル(PVAc)生成
↓ けん化(NaOH水溶液で加水分解)
③
ポリビニルアルコール(PVA)生成 ← 水溶性!繊維として使えない
↓ ホルムアルデヒド(HCHO)でアセタール化(OH基の30〜40%)
④
ビニロン完成(吸湿性保持+耐水性付与)
なぜ直接ポリビニルアルコールを作らないか?
→ ビニルアルコール(CH₂=CHOH)は不安定で
直ちにアセトアルデヒドに変異(互変異性)
→ 酢酸ビニル → PVAc → PVA の迂回が必要
アセタール化:OH基2個 + HCHO → –O–CH₂–O– + H₂O
アセタール化しない部分 式量88(ビニルアルコール×2)
アセタール化した部分 式量100(+CH₂で12増加)
なぜ30〜40%だけアセタール化するか
0%(アセタール化しない)→ 水溶性のまま。繊維として使用不可
30〜40%(適量)→ 耐水性確保 + 残りのOH基で木綿様の吸湿性を保持
100%(完全アセタール化)→ 吸湿性ゼロ。木綿の良さが失われる
計算問題の公式(超頻出)
PVA繰り返し単位を2個1組(式量88)で考える
アセタール化率 x% のとき:
アセタール化部分 式量100 × (x/100)
未反応部分 式量88 × ((100-x)/100)
ビニロン式量 = 88×(1-x/100) + 100×(x/100)
= 88 + 12x/100
必要HCHO量:OH基2mol につき HCHO 1mol
(式量30の HCHO が OH基2個分44×2=88 に対応)
★ 二次記述頻出
①なぜ酢酸ビニルを経由するか(ビニルアルコールの不安定性)②なぜアセタール化を一部だけにするか(吸湿性と耐水性のバランス)③計算:アセタール化率・HCHO必要量・ビニロン分子量
アラミド繊維(ケブラー)
芳香族ポリアミド / 縮合重合 / 超高強度・耐熱性繊維
合成(縮合重合)
n p-フェニレンジアミン(H₂N–C₆H₄–NH₂)
+ n テレフタル酸ジクロリド(ClCO–C₆H₄–COCl)
→ [–NH–C₆H₄–NH–CO–C₆H₄–CO–]ₙ + 2nHCl
結合:アミド結合 –CO–NH–
ナイロン66との違い:–CH₂– がベンゼン環 –C₆H₄– に置換された構造
性質と用途
強度鋼鉄の5倍(質量比)・超高強度
耐熱性高温でも分解しにくい
柔軟性ベンゼン環→剛直・柔軟性は低下
用途防弾チョッキ・消防服・安全手袋
ナイロン66との構造比較
ナイロン66:
[–(CH₂)₆–NH–CO–(CH₂)₄–CO–]ₙ
↑脂肪族(メチレン基)
アラミド(ケブラー):
[–NH–C₆H₄–NH–CO–C₆H₄–CO–]ₙ
↑芳香族(ベンゼン環)
ベンゼン環が入ると:
✅ 強度↑(大きく安定な構造)
✅ 耐熱性↑
❌ 柔軟性↓(剛直になる)
★ 試験頻出ポイント
アラミドは「芳香族ポリアミド」の略称。ナイロン(脂肪族)と区別する。ベンゼン環置換による強度向上・柔軟性低下の理由を記述できるようにする。